マインドフルビジネス

マインドフルビジネスの定義(2015年にenmonoが提唱) 「人の心の能力向上を目的としたビジネス」 ※心の能力(慈愛力/集中力/回復力/EQ/創造力)

第165回MBS(2018/5/10対談)「資本主義と協働主義のブリッジとなり、緩やかな革新を進める土壌づくりをする」㈱ヒューマンポテンシャルラボ 山下悠一さん

●ご挨拶と出演者紹介

三木:第165回マイクロモノづくりストリーミング本日も始まりました。本日はBlue Soil Consultingの山下さんに、こちら「Think Space鎌倉」という稲村ケ崎メディテーションコワーキングスペースが一体化された素晴らしい場所からお送りしております。今日は“革命業界”の話を中心に山下さんのご経歴から色々お話を伺っていきたいと思います。

 

●enmonoとの出会いについて

三木:山下さんと私の出会いが2年ぐらい前ですか?

山下:そうですね。

三木:つぼみの家というところでトレイルランニングをした後に対話するみたいな。松島さんのリトリートプログラムに山下さんが参加していたんですよね。

山下:今思えばすごい濃いメンバーです。NHK出版の松島さんに、瞑想をやられたマインドフルネス(一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティチュート)の荻野さん(https://zenmono.jp/story/287)をゲストとしてお招きしました。

三木:すごいメンバーですね。

山下:宍戸さんもいらっしゃいましたし。

宇都宮:何をしてたんですか?走ったんですか?

三木:トレイルランニングをして、山の上で瞑想して、鎌倉に降りて来てまた海で瞑想してその後対話ですね。

山下:特にフィーチャーしたのは、松島さんの今までのテクノロジー系の出版物と、それからフィジカルな身体系の本と、“デジタルラブアンドピース”というのをテーマに、一体どうやってそれを接合しようとしているのかみたいな話を中心に。

宇都宮:松島さんが音頭を取って?

山下:僕が主催はしてたんですけど…

三木:そうなんですか?素晴らしい場所をありがとうございます。僕も一参加者として参加して、その時はまだZen2.0というコンセプトは出てなくて。革命業界とかヒッピーとか言ってる人がいて、大丈夫かなと思いながら参加した思い出があります。それで昨年のZen2.0に参加していただいてそこから親しくさせていただいて、今年2月のサンフランシスコのWisdom2.0も一緒に行って共同生活をしたりとかして。

山下:はい。ベッドも共にしました。

三木:ベッドも共にしてね(笑)。

 

●山下さんの経歴と『僕がアクセンチュアを辞めた理由』について

三木:そもそも山下さんは何者かということからちょっと説明をしてください。

山下:3年前に『僕がアクセンチュアを辞めた理由』っていうブログを書いたんですが、僕が何で辞めたのか色んな理由があるんです。コンサルやって大企業の仕組みを整えていくっていうことを社会のためにやってるつもりだったのが、幸せになる人が自分がカウンターパートだった方が出世するぐらい。出世させるのが僕らの一番に持っていた情熱というかモチベーションにもしてたし、実際に良いプロジェクトが成功するっていうことはカウンターパートが出世するっていう話なので。

宇都宮:カウンターパートってお客さんですか?

山下:お客様の部長だったり執行役員だったりする人が1個上に上がるみたいな、プロジェクトを成功させるってことはある程度インパクトのあることをやってたのでそのためにコンサルをうまく彼らは使うわけですけど、でも特に消費財、食品メーカーとかコンビニとか化粧品とか皆さんがよく使ってる商材だったので、大量生産大量消費という今はあまりよろしくないと思われてこれからどうするんだろうみたいなところだったんです。

宇都宮:BtoCのメーカーさんとか商社さんとか?

山下:基本的にはメーカーです。彼らも苦しい戦いをしていて、レッドオーシャンになっていって全てはコモディティー化していく中でどうサービス化していくのかとかそういう大きな戦略のところから、営業部隊の生産性を上げていくみたいな営業改革とかそこに研修をやったりとかITを入れたりとか中国にバックオフィスを持っていたりとかやってたんですけど。

三木:その時の自分は楽しかったですか?

山下:めちゃくちゃ楽しかったです。だから30歳ぐらいまではどんどん自分も何でもできるようになっていくし、課題解決っていうのがどんどんできていくし、プロジェクトもどんどん成功させていくことができたし、自己実現っていう意味でも会社に貢献するっていう意味でも非常にフロー状態。だから夜も寝ずに僕も29、8ぐらいの時に鎌倉に2拠点生活を始めてたんですけど、ほとんどスーツの半分以上をプロジェクトルームに置いてあって、もうその辺のホテルに寝泊まりして週末鎌倉に帰って来るみたいな。

宇都宮:スーツ着ておられたんですか?

一同:(笑)。

山下:最近スーツが似合わないって言われて本当にショックだったんですけど。

三木:残業が300時間ぐらいですか?

山下:そうですね。300までいかなかったかもしれないですけど、本当にそれに近いぐらいの形でやってました。

宇都宮:でも山下さん自身幸福だったわけじゃないですか。きっかけとか何かあったんですか?それ以上幸福になろうってなったんですか?

山下:それが28、9ぐらいの時にふとこの先の目標何だろうみたいなところがあって、ある程度マズロー自己実現みたいなところは全然レベル低いかもしれないですけど、僕の中では満足しちゃって自己実現もできてるじゃないかということで、この先女の子のお尻を引っかけ回すのか、お金をたくさん稼ぐのか、さらにアクセンチュアの中でも上に行くために泥臭い出世競争をやっていくのか、一体何がこの先幸せなのかもう満足しちゃって。その影響が今考えると実は鎌倉に来てからなんです。そこでふと目標を失ったというか、今でも覚えてるのは今の嫁さんがまだ彼女だった時に「目標がないっていうことが今悩みなんだ」みたいなことを言ったら大爆笑されちゃって、「何それ?それ悩み?」みたいなことを言われて、そういう楽観的な嫁さんでおもしろいんですけど。

三木:いいじゃないですか。

宇都宮:でも目標って自分で設定するものじゃないですか。だからなくなったっていうのは不思議に思うんですけど。

山下:だから満足し切ってしまったみたいなところがあった時に、この先どの方向に自分は行くのかなっていうのがちょっと分かんなくなったところがあって。

宇都宮:でも日々満足しているっていう状況がある時になぜ未来を見てしまったかっていう…

山下:まだ29とか30だったからですかね。そこからの境地としては、あるがままでそのままでありたいみたいなのが今としてはあるんですけど、その当時としてはずっとステップアップというか、こういう線形の積み上げ階段を昇ってきたので、この先の山はどこを目指そうかみたいなまだそういう思考ではあったんです。

宇都宮:その後色々過渡期が起きて今に至るって感じ?

山下:そうですね。その時に鎌倉に来たっていうのは大きくて、そうは言ってもワークライフバランス的なものとか、コミュニティみたいなものとか、完全に分断された世界で会社のギスギスしたコミュニティの中にいたわけで、だからローカルコミュニティの中に、僕は副業でヨガスタジオを鎌倉に来てすぐ始めたんです。

宇都宮:2015、6年ぐらいですか?

山下:いえいえ、もう今8年目ぐらいで鎌倉も8、9年になるので。

宇都宮:それ以前は東京にずっとおられたんですよね?

山下:そうです。嫁さんがヨガスタジオをやっててそこに地域の人がたくさん来るんです。すごい対比的で、僕は大企業の何千億のビジネスの中枢のことをやっていて、それなりにやってきたつもりなんですけど、嫁さんは大きくメディアに出ようだとか店舗を展開しようみたいな野望は一切なく、だけどやってることってすごく目の前の人の人生を変えていくわけですよ。骨粗しょう症だった人が治りましたとか、すごいのは妊娠が全然しなかったんだけど、通い続けてたら妊娠するようになった人が何人もいたりとか、旦那と喧嘩しなくなったとか、小さいながらそうやって人生を変えてるんですよ。だからコンサルっていうのは虚業みたいなもので見えない数字が動いている。結果的に数字は上がって営業部隊の生産性は上がっても営業の人達の心はどうなのかとか。

三木:疲弊してるみたいな。忙しくなってね。

山下:すごい矛盾的に感じてしまって、この資本主義っていうシステム自体1個の会社をやっててもダメだなと思ったんです。このシステム自体に大きな欠陥があってシステム自体をアップデートしないといけないっていう想いがすごく出てきて。

 

●鎌倉移住と革命業界、循環型の協働主義について

宇都宮:鎌倉に来た理由って何かあったんですか?

山下:そこはすごくロジカルに考えて。

宇都宮:鎌倉をロジカルに!すごい!それ気になりますね。どういうロジックなのか。通勤距離とかそういう感じですか?

山下:そうですね。第一にワークライフバランスを取りたいということ、もう1個はスポーツをして体を動かしたいというのがあって、サーフィンをしたかったんです。海の近くだと通勤ができる千葉と鎌倉に絞られて。千葉はその当時はまだまだカルチャーというのがあまりなくて、文化的にも歴史的なものも鎌倉にはあって、しかも通勤50分ぐらいは、最も移動する時は生産性が高いというかクリエイティブになるのは分かってたので、そこを読書とか睡眠の時間に充てれば…

宇都宮:グリーン車もあるし。

山下:グリーン車もちゃんと計算したんですよ。グリーン車の金額とその当時六本木ヒルズアカデミーヒルズというところが月額6,000円とかで、49階がすごい絶景でラウンジがあって仕事も勉強もできるし本もたくさん最新の本を買ってそれを書斎にして、東京はベッドルームだけあればよくて吉祥寺に6、7万の本当にちっちゃい部屋を買って、週末は15万の鎌倉の一軒家を4人でシェアすると4万で、足すと12万ぐらいになるんですけど、当時池尻大橋でそのぐらいの家賃のところに住んでたんですけど、こうやって全ての機能をちゃんと分解してやれば全てが最適化するみたいな。

宇都宮:そういうプレゼンをしたわけですね(笑)。

山下:そうなんですよ。

宇都宮:鎌倉移住計画みたいな(笑)。

山下:これは間違いないだろうと思って、仮説通り素晴らしい体験だったんですね。

三木:それからその後革命系にいったのはどういう経緯なんですか?

山下:このブログでも書いたんですけど、「真の成功者は大富豪ではなく大自然である」みたいな、その時もうすでにヨガだったりサーフィンとか鎌倉の自然に触れている機会があったので、そういうインスピレーションとかあったんです。さっきのBlue Soil Consultingという言葉の元にもなってる想いは、資本主義システムは基本的には生産者と消費者っていう2つのプレイヤーしかいなくて、これが悪さをしてるんじゃないかと。大自然を考えるとそこにはトライアングルで必ず分解者っていうのがいて、生産して消費してそれを分解してまた生産するっていうこの分解者、いわゆる土、微生物は土じゃないですか。今の世の中はこの土を作る人がいないんじゃないかと。大企業はどんどん大きくなっていってそれを分解する人がいない。

宇都宮:大企業を分解する人(笑)。

三木:ぶっ壊す(笑)。

山下:ぶっ壊すってガーンってディスラプトするみたいなのは競争としてはあるんですけど、もっとじわじわと腐食させていくみたいな。微生物っていうのは割とじわじわと発酵していくようなプロセスだったりするので、微っていう小さい単位でそれがネットワーク型で壊していくっていうのが本来のあり方だと思って。僕は新しいコンサルタントのあり方というものでカルチベーター、分解者になりたいなと思ったんです。今までの社会はどんどん木を大きくして実をたくさん獲ろうっていう話ばっかりなんですけど、地味だけどその木の新しい土をどんどん作っていってそこに新しい芽が出ていくようなことを。微生物なので自分1人じゃできないので色々なあらゆるネットワークを作っていってやることが大事だなと思ったので、2つやったのが、1つは微生物ネットワーク=革命業界っていう、革命業界っていうのはあらゆるセクターを超えた微生物ネットワークを作る。

三木:分断を超えた?

山下:そうなんです。もう1個はリアルに自然っていうのをちゃんと経験しようと思って、自然のプロセスつまり循環するシステムっていう新しい資本主義を超えた循環型のシステムを学ぶためには農業ということで、鎌倉の知り合いの農家さんの門を叩いて「手伝わせてください」と言ったんです。そこでやったのは消費者がどういう風に生産者が作ってるのかとか、生産者が作っているプロセスというものを自分で自給的にやってみることを通じて、消費者の意識改革にもつながっていくと思うんです。そういうものが全部アウトソースされて見えなくなって分断してしまっているからこそ、消費財を人が買う時には安さという価値だけで、ものを買ってしまうんですけど、それはプロセスに入り込んでいかない限りは、意識面で変わっていかないだろうなと。実際に僕は農家さんの門を叩いたら、それに賛同する人達が鎌倉の特に女子達がたくさん集まって来て。

山下:僕は鎌倉野菜を作ってる大船のほうなんですけど、そこの農家さんはおばあちゃんが亡くなっちゃって、だけど自分達の稼ぎはあったので趣味で広大な畑を余らせながら作ってたんですけど、とにかく子供達に良い野菜を作りたいからやってるみたいな感じで、人が足りてないからどんどんオープンに僕がたくさん人を連れて行ったらそれで今3、40人のコミュニティになって…

三木:すごいですね。

山下:本当に普通の人、一般のOLの人達が週末畑の手伝いに行って、「ありがとう」っていうことでお礼に余った野菜とかを持って行って食べるんですけど、それは本当にめちゃくちゃおいしいなと思う。そこから僕はあらゆる生活を自分達で作っていくことが、社会を変えるためには大事なんじゃないかと。僕は人生をアウトソースしてしまったんだと思うんです。今も脳みそをアウトソースしようとしてますけども、全部を外部化してしまって、だからこそそこに残る精神というのが空虚になってしまってるんだなと。だからその全体性を取り戻すっていう意味では、自分の作ってる暮らしというものを食もそうだし建物もそうだし着るものもそうだし、そういったものを自分達で作っていく社会が大事で、それってよく言う全員が創造者になるというか、全員がクリエーターになるみたいな…

三木:一人一宇宙。

山下:そこに行き着くんですけど、それが僕が言ってる革命という話で。

三木:仏教だったんですね。革命って。

山下:仏教でもそうですね。

三木:唯識として一人一宇宙、一人一仕事なんですよね。この人しかできない仕事を創り出すという。

宇都宮:僕らも創業した時からマイクロモノづくりというものを通して、企画から販売まで全体像を体感してからビジネスしたらどうですかっていう提案をずっとしてる。全体を見て自分のポジションを見極めればいいかなっていうのをずっとやってきててすごくシンクロしますし共感します。

山下:資本主義のシステムに代わるものは循環型の協働主義社会と言っていて、今までは大きくイノベーションというのはベンチャーとかスタートアップとかの小さいもののイノベーションから生まれたり、大企業が徐々にトランスフォーメーションしていくことで回ってたと思うんです。新しい協働主義は今言った革命業界なんですけど、基本的には個人単位というか小さい単位で大企業にいたような依存型の人間ではなくて自立型の創造的な個人というのがまずあって、その個人が集まって意図を持ったコミュニティを作り、そのコミュニティが分散型でたくさんできていって、そのコミュニティの中も助け合いながらやってるしコミュニティ同士も助け合いながらやっていくっていう循環型の仕組みというのがこちらの世界。

三木:まさにZen2.0のコミュニティ、自己変容しながら自分達で助け合いながらグルグル回っていくみたいな。

山下:本当そうです。それが今のホラクラシーとか言われている世界もそうですし、ブロックチェーンで目指している世界っていうのもこっち側です。これは3年前に書いたフレームワークで、アクセンチュアを辞めた後にこれを掲げてこの真ん中をブリッジするネットワークするっていう意味で土を作る活動、ここをネットワーク活動、カルチベーター活動っていうことで始めたんです。左側の人はテクノロジー業界だったり大企業の既存の人達だったり、右側はいわゆるヒッピー的な人達とかリベラルと言われるような左翼的な人達とかすごく分断があったんです。だけど今徐々にこれがシンクロしていってるんです。それって両方の世界を知ってる人とかが段々ネットワークしていってお互いのことを理解し合えて、お互いの良いところをどんどん補完し合っていってるんです。例えばこっち側の世界で今起きてるシェアリングエコノミーはまさに概念としては右側の話になってきてますので、革命業界っていうのは真ん中のコミュニティでNPO、ソーシャルな活動をしている人、起業家だったり大企業だったりヒッピーだったりアーティスト、こういうクロスセクター、この分断してたセクターを僕はこの3年ぐらいかけて縦横無尽に仲間、ソーシャルキャピタルを作っていったんです。

三木:なるほど。それで我々も仲間なんですね。

山下:そうです。

宇都宮:今のイメージだとブリッジするところって、マッチングみたいな表現をしてた雰囲気があるじゃないですか。ビジネスマッチング。僕達2人はすごく違和感を感じてるんです。マッチングしないよねって。

三木:マッチングは嫌なんです。

宇都宮:言葉の問題なのかもしれない。でも何かつなぐ要素は必要なんですけど、ブリッジってイメージとして、概念として必要なんだけどどうやってやるの?という疑問があって。

山下:それの1個が今右下にあったコミュニティを創造していくというところは、今色々コミュニティができてると思うんですけど、Facebookとかを含めて僕はその先何かというと生活自体を共有するっていう、コワーキングの次がコリビングだとした時に、これはコリビングの新しい協働主義型の生活をしている人達に特化したWebサービスなんです。

僕が作ってきた革命業界のネットワークを駆使して日本全国にポスト資本主義を体現している村とかコミュニティとか実際に暮らしている人達を集めたサイトだったりするんです。例えばこの菜音キャンプ(Zion Camp)っていうのは淡路島にあるんですけど、この人達見た目いかついEXILE系の人達でめっちゃ農作業をやってるんです。彼らは元々六本木とか渋谷とかでクラブとかを営業してた人達で、武道館でアーティストのコンサートをやってた時に3.11が起きて、その人が今この瞬間に奥さんとかを失うかもしれない、会えないかもしれないと思ったらしいんです。その瞬間にこんな生活してられないって思って、いきなり西のほうへ旅立ったと。淡路島もまた結構スピリチュアルなところなんですけど自給率が日本で最も高いんです。そこで農業を始めて自分達で自給しながら、それを東京で自分達で持ってた音楽関係のコミュニティの人達に、直売の野菜を送ってたり自分達で全部かっこいい家とかも作って、そこに滞在型で東京の人達を呼んできて革命リトリートをやってるわけです。音楽やってる人ってイベントとか何やろうとしてるかっていうと、意識を変えていきたいっていう想いが本当はあるんですけど、でもイベントを大きくしても全然それを理解してリーチする人はいないと。だったらこういう場所を作って小さい5人10人とかで音楽イベントをやったほうが自分達の暮らしもちゃんと一緒に体験することで「あ、やっぱこうだよね」みたいなことを分かってくれるということをみんなやってるんです。結構みんなオフグリッドだったり、自給自足やったり、オルタナティブな暮らしをしてる人達はお金に困ってるわけです。脱お金をやろうとしてるけどお金に困ってるので、僕はこういうコミュニティのネットワークをまず可視化してこういうところもあるんだよっていうのを世の中に見せることによって、普通の一般的な資本主義側の人達が、エアビー(Airbnb)のオルタナティブ版というところに行くと人生が変わるような体験ができちゃうということで、このコミュニティプラットフォームを作ることによって僕は左側にいる人達をこっち側に連れて行くというフェーズに今きています。

三木:なるほど。

 

●革命のフレームワークについて

三木:後半も引き続きコミュニティを作った先にどういう未来を山下さんが生み出そうとしているのかという話をしていただきたいと思います。

山下:これが革命のフレームワークなんです。

三木:すごいね。かっこいいね。V字じゃないですか。

山下:レボリューションUっていう言い方、今はHolistic Transformation Uと言ってるんですけど、一番上は社会のゴールとして左側は短期的な利益、GDP的な世界から永続する豊かさっていうWell-Being。でもこの社会を実現するためにはどんどん下に深掘っていくことが必要で、社会のシステムとして資本主義から協働主義へっていう話で、その協働主義を支えるのが分散型の有機的なコミュニティだったり組織のあり方っていうのが求められている。今まではすごく構造的なヒエラルキーの組織っていうのが資本主義には適してたという風にマネジメントシステムも変わっていくし、それを支えてる人間のあり方というのも、何でもかんでも切り刻んで因果論的にアプローチしていくんじゃなくて、もっとホリスティックに統合的にアプローチしていくとなった時に、一番下の最下層っていうのは我々の意識そのもので、左脳的ロジカルな世界、因果論に基づく意識でいた我々というのがいよいよ脳の90%ぐらい使われてないであろう潜在意識とかにアプローチしていくのが人類の意識変容だし…

三木:新しい文明をそこから?

山下:そこから生み出していくっていう話じゃないですか。

三木:いいですね。そこはまさに大好物な…

山下:これは土っていう意味ではイノベーションは上に行くっていう話なんですけど、僕は下に掘るっていう言い方をしてて、意識の奥深いところを掘っていかないといけないということで、コミュニティっていうのは意識を体験する場としてすごくいい場所なんですけど、その根っこのある意識の部分にもっとよりアプローチをしていかないといけないということなんです。

宇都宮:山下さん自身のポジション的にはそっちの右方向にポジショニングしてる感じなんですか?最初は左にいらっしゃったんですもんね。

山下:僕は超越です。どっちも知ってる状態で。

宇都宮:この画面のこっち側にいるってことですね。Z軸方向に。

三木:行ったり来たりする。

山下:結構行ったり来たりするっていうのが大事で、例えば僕は今生き方自体もあえてそうしてて、ヒッピー系コンサルタントって言っていて、ある時はどヒッピー的に暮らしてたりするし、ある時は超資本主義の中のスーツ着て大企業の新人研修とかをこの4月とかやってたりするんですけど、そうすると何が起きるかというと両方の世界を客観的に見れるっていう話で、その中に没入してしまうっていうのとは全然違うので。

宇都宮:それがブリッジっていう表現っていうこと?

山下:そうですね。僕の今のミッションは人類のOSをバージョンアップするというような話です。OSって言ってるのは意識なんですけど、僕大学は建築学科でハードで社会を変えようと思ったんですけど、ハードの時代じゃなくソフトだなと思って経営コンサルタントになり、ソフトだけでもダメだなっていうので今意識のところに行ったのかなっていうところなんです。この下の部分をどういう風に意識を変容させていくのかっていうところが大きな軸になっていく。今までの社会っていうのは社会変革っていう外的な変革、これはコンサルの世界もそうだしビジネス全てそうだったと思うんですけど、それをテクノロジーということで支えていくっていうのも大事なんですけど、でも車の両輪のように我々の意識自体も変容っていうConscious Transformationがないと、上も動かないのでどっちも大事で、どっちかって言うと上を変えていくよりも、僕は今下の部分が追いついていかないと社会がうまく進んでいかないのかなっていうところなんです。

宇都宮:意識業界、スピリチュアルな業界ってどうしても現実離れして見えちゃうじゃないですか。そこの必要性を論理的に説明できないじゃないですか。

山下:そうなんですよ。僕がやってきたことっていうのは今まで超合理主義、科学主義なコンサルティングっていうところを一歩超えてきたからこそ、ブリッジっていうところは言語化できないところを言語化にチャレンジするとか、そういうことをやっていく存在だとあちら側の世界から言われているんです。

宇都宮:非言語化世界を言語化してビジュアル化して伝える役割というか…

山下:そうです。

 

●Human Potential Lab とRainbow Wisdomについて

山下:今新しい業界の動きとしてはHuman Potential Labというものを立ち上げようとしています。

三木:これが新しいコンセプトですか?近いですね。Zen2.0の新しいテーマに。

山下:近いと思いますし、これ自体は鎌倉の大学構想の中の1個にも位置づけられるんじゃないかなと思うんですけど、社会のメタファーとして我々は機械とみなされていて、ヒエラルキーとか人間自体をパフォーマンスで測定されていたんですけど、測定できない世界、ポテンシャル、機械から生態系へというパラダイムシフトの中で我々はパフォーマンスからポテンシャルになっていくと。既存の自分から未知の自分、既存意識から潜在意識へ、マネジメントからゾーンへ、測定可能から測定不可能みたいな、ここの領域の見えないものを見える化していったり、そのためにもテクノロジーとか科学というものをふんだんに使っていくことが大事だと思います。

三木:ぜひ一緒にやりましょう。

山下:ぜひぜひ。

宇都宮:すごくシンクロしてる。

山下:シンクロしてると思います。僕は今このRainbow Wisdomっていうものを、Human Potential Labっていうのはオープンなシステムとして考えている時に、今自分自身も意識の部分っていうのは自分が変わりながらやっていく必要があるので、この間もヴィパッサナー瞑想10日間行ったりとか、山伏の修行とかネイティブアメリカンとかヨガもやってますし、僕ができることはあらゆるものを統合していく立場だと思うので、さらにそういうオルタナティブなWisdomというものと、最先端の量子力学とか認知科学といったところも含み超えた21世紀の英知というのを、みんなで編み出していきたい。それがOSのバージョンアップっていうことなんです。Rainbowって言ってるのは、ネイティブアメリカンもRainbow Warriorっていう言い方をするんですけど、虹の戦士だし、仏教の世界でも五色だったりとか、これから単一的な価値観じゃなくて、多元主義の色々なものを含んで超えていくものがWisdomだと思ってて、拡張したマインドフルネスというものを、ちゃんと日本発として世界に広げていくみたいなところでZen2.0にすごく共感しているところもありますし、そういう皆さんとできていったらいいなと思って。そういうのを自分の中では色んなオルタナティブなものを、キュレーションしながらTransformational Retreatを1つのコアなサービスとしてやってます。今度コクヨさんとかとやってたりするんですけど、千葉のネットワークしてたコミュニティの1個でHackerfarmというところがありまして、ハッカーの外国人達が畑を耕しながら仕事をしている場所にそういう人達を連れて行って、あと林良樹さんっていう人もすごく有名な方で、無印良品とコラボレーションして初めて無印として人口減少都市に店舗を出したんです。それは林良樹さんが誘致したんですけども、そこに新しいビジネスをどういう風に考えていくかっていうパラダイムシフトがそこに起きてたりする。そういう新しい生き方をしているところに疑似的に体験してもらって色々ワークをやるんですけども、脱会議室・脱左脳みたいなところをコンセプトにして、自分の内面に限界っていうところは何なのかというのを深掘りして、自分の何を変えていくのかっていうのを、おいしいご飯を食べてそういう場所の中で人の話をガンガンインプットして、Transformationしていくっていうのを定期的にやってるんです。

三木:そういうプログラムがあるんですか?コクヨさんと一緒にやってる?

山下:そうです。こういった企画をしてやってるところなんです。

三木:いつぐらいからやってるんですか?

山下:この1年ぐらいですね。Rainbow Wisdom的なものをどんどんバージョンアップさせていってRetreatとかを今やってるし、このWisdom自体は共有財産にして色んな企業さんが活用できるようになっていくといいのかな。

 

●One JAPANと超企業のコミュニティの動き

宇都宮:大企業側は今どういう受け止め方でそういう活動に参加しようとしてる感じですか?

山下:大企業の中でも今革命が起きてまして、タコ壺化していって大企業の中でも若手の優秀な人達がいくら良い提案をしてもなかなか通らないからもう嫌になってきてるんです。

三木:One JAPANってやつですね。

山下:そう。そのフツフツとした若手たちがもう横でつながってOne JAPANっていう1,000人ぐらいの1年間で大きなコミュニティを作って、そこで人事の人達にプレゼンをしてきたりしたんです。

三木:パナソニックの人でしょ?まとめてるのは。

山下:そう。パナソニックの人とかZen2.0に来てた富士ゼロックスの人とか。

三木:でも結構苦労はしてるみたいですね。

山下:苦労はめちゃくちゃしてるしまだまだこれからです。そこでも僕は企業をまず目的化しているところが問題だから、企業を自ら破壊する臨死体験をするべきだと。“「迷走」をやめて「瞑想」を”と。企業が瞑想で一旦ブラックアウトした時に何が起こるかっていうと覚醒した個人、企業を目的から手段に替えて自分の自己実現を一旦考えて自分が変容していくことをまず一番最初に考えるべきで、そうやって覚醒した個人達が、一緒に今度は社会をどう変えていくのかっていうことは、超企業、企業を超えた大きなコミュニティを一緒に作っていこうみたいな話をしてたりします。これはホラクラシーの文脈とも合致していくんですけど、要はホラクラシーも1個の企業の中だと完結しないんです。結局新陳代謝を良くしていく話なので、ここだけホラクラシーにやっていくとどんどん出て行って不幸になる人がいるんです。だから全体を包含するエコシステム、その中で出ても色んな会社があってそこでまた就職もできるっていう大企業の枠を超えたコミュニティを作っていくことによって心理的安定性が担保されて、企業の中でも「社長や上司に嫌われてでも俺はこれをやりたいんだ」って言って「嫌だ」って言われたら「じゃあ辞めるよ」というのを作っていくのが大きな方向性だと思いますし、それを僕は提案してるんですけどまだまだです。

三木:いいですね。そのTransformationを僕らは企業の中で起こそうとしてて、僕らの使ってる手法は、前野先生にネーミングしてもらったんだけど“幸せの根回し”。お互いにお互いのプロジェクトを応援し合って、例えばそれに予算が出なかったらその人の上司の上からお互いにカバーすると4個のうち1個ぐらいは花開くっていうことで、結構それでうまくいってる人があったりとかして。それは今の組織の中でやろうとしてる形なので、これは企業間のコミュニティを作る…

山下:そうですね。企業間のコミュニティを作るのもそうなんですけど、でもまずは企業を目的じゃなくて自分でやりたいことをちゃんと表に出してやることすらできてない気がして。

三木:それを今閉じ込めちゃうんだよ。殻の中に。

山下:閉じ込めちゃっててそこ自体は破っていかないといけないっていう話で、僕もアクセンチュアの元同僚とか見た時にTransformationが怖くてそこを見ないようにしてる人が多い。「僕のKPIはただひたすら年収5,000万を目指すことです」って言ってて、それ以外を一切考えないようにして分かりやすくしちゃってるんです。その時にちょっと問いかけで「じゃあ君の子供の未来ってどう考えてるの?」と言うと固まっちゃうみたいな(笑)、5,000万はいいけどその先に次の世代の子供達の社会をどう作ろうとしてるっていうのには全然思考がいってなかったりする。

三木:固まったりとか怒ってきたりとかキレちゃたりとかね。

山下:そこはロジックでいったら無理で会社の中にいてもできないので、だから僕はあえて一人称体験っていうのが一番人を変えるのに大事だなと思ってて、そういう場の力は大きいし鎌倉の場っていうのをもっと活用してやっていきたいなと思っています。

●Zen2.0と世界を変える2つのT

三木:Zen2.0に最初は参加者で今は作る側に回ってるじゃないですか。どういう流れでそうなっていったのかとか、それで感じたこととか何かありますか?

山下:実は一番最初に三木さんや松島さんがZen2.0をやるぞって言って3年ぐらいになる時に、そういう話が出てるよっていうのはつぼみの子達からは聞いてはいたんです。その時から興味があって何らかの形で参加できたらいいなと思いつつも、1年目はまずは楽しんじゃいました。中身自体は僕がやってきたこと、やろうとしてることと限りなくリンクをしているし。

三木:それで今大きな図を見せてもらって自分が何をやってるか分かったんです。Vの底を掘っていって両方の架け橋を作ろうとしてるのかなっていう。

山下:そうですよね。そういう架け橋を作っていく。もう1個分かりやすく“世界を変える2つのT”って言ってて、上に行くのはTechnologyで下に行くのはTransformationって言ってるんですけど、我々の下が意識の進化だとした時に、ここに書いてるテクノロジーは意識を拡張するために生まれる、意識の拡張が新しいテクノロジーを生み出すということだと思うんです。

宇都宮:Facebookとかすごい拡張してくれてますよね。

山下:そうですね。ヒッピー達からすればFacebookっていうのは実は「ああいうのは僕らはずっと昔からやってるよ」と。人と人とを結ぶFacebookで、テクノロジーじゃないけどそういう意識がヒッピーっていうのは「みんな家族だよね」「つながっていくOnenessですよね」っていう思想があるからそれに追いつくようにテクノロジーが出てきただけだし、1970年代のヒッピームーブメントの時にちょうどアポロが月面着陸して地球を見たっていう写真があってあれ自体も意識の拡張で、我々がようやく地域とか民族の分断というのを超えて地球は1個だよねって思いたいと思った時に人類が宇宙に行ったわけです。ブロックチェーンの話もそうですけど全ては鏡写しでしかなくて、これがちょっとズレてると例えば仮想通貨が投機対象になってしまったみたいなことが起きてるだけで、両方がうまく帳尻が合ってどんどん進化していく話なんです。今このサイドのメディアもこっちの話しか論じてないし、みんなこっちの世界しか見えてないんです。だからこの土の下の部分の話…

三木:心の部分を掘っていかないと大変なことになる。

山下:大変なことになるし、それ次第でテクノロジーの使い方、見方は変わってくるので、僕はこっち側の世界っていうのをしっかりと提示していく。

宇都宮:ただテクノロジーってエンジニアが担ってる領域なんですけど、彼らって理が強い傾向にあるんです。だけど中には天才がいて、天才は宇宙から来たものをテクノロジーに落とし込んで阻害されがちなんですよね。分からないみたいな、分かることにどうしてもフォーカスされてテクノロジーはどんどん暴走していくというか…

山下:その中で稀有な存在で今でも残っていく人っていうのはスティーブ・ジョブズみたいな、だから僕はヒッピーっていうのは大事だっていう話をしてるのは、下がヒッピーで上がハッカーだとした時に、これが両方持ってるからこそ最適なものが生まれていけるんだと思うんです。ブロックチェーンをやってる(GIFTED AGENT)河崎純真(https://zenmono.jp/story/334)もまさにすごく思想的には深い部分があるし、チャディー・メン・タンさんとかGoogleの彼とかも若い時から仏教を学んでたりとか、突き抜けた人っていうのはある意味両方ちゃんと見据えてるんだろうなと。

三木:下のほうでつながってると上であまり合わなくても話し合えるみたいな、テクノロジー業界とアートでも下でつながってると全然話ができる。上で同じ業界にいても心が合ってないと全然話ができないです。

宇都宮:下だけにいる人もいるじゃないですか。そこが必要じゃないですか。現実化っていうか…

三木:僕らはどっちかって言うと心系から現実のほうに引っ張り上げるっていう方向ですね。

 

●ヒッピーから見る新しい動きについて

山下:これからの社会どんな人達も意味がある社会になっていくと思ってて、例えば社会的弱者とかスピリチュアル系の人っていうのは、僕はまとめてヒッピーって言った時に、ビジネスにとってヒッピーっていうのはよく見てると完全に先行指標なんです。

宇都宮:エクストリームな人柄、超越しちゃってるから。

山下:それは例えばヒッピーの人達が一番最初にハワイのどこどこにいたとかクリスチャニアって場所にいたりとか、彼らがいた場所っていうのは確実に10年後20年後には大きな観光地になってたりするんです。だからそこから本当にビジネスにしていくのはまた別の人だったりするんですけど、彼らの動きを見てればFacebookもそうだし、5年後10年後にこれはでかいビジネスになるという種をつけることができるので、意義がある存在だったりする。

三木:そうすると今の動きを見てるとどうなんですかね?種は。

山下:シェアリングエコノミーみたいな話っていうのも結構前からそうなるだろうなと。ヒッピーの人達を見てたっていう話もあるし…

三木:どこが熱いですか?今は。

山下:一般的にも言われてる話ですけど、教育と観光みたいなものがミックスされていって大きな産業になっていくんだろうなとは思ってるんです。結局テクノロジーが色んな我々が今まで想定してた仕事をどんどんやってくれると思った時に、やることなくなって良い意味で生きることしかなくなるんだと思うんですけど、生きること自体のアートを追求していく世界になっていくとした時に、茶道っていうのはアートでありながら教育というか学んでいかないと極めていけない。生活自体をアートとして学んでいくということ自体が、観光的でもあるし教育的でもあるし自分がTransformationしていくっていうことでもあるので、僕がやりたいのはそこなんですけど、それはこれから伸びていくところです。例えば鎌倉に来るって言った時に単純にお寺を見に行くっていうのが今の観光だとした時に、よりそこで精神的に深い体験をして、自分が変容していくことを学びながら家族みんなで体験して帰るみたいな、そういう新しい観光というか新しい教育というものが発展していくと、より豊かな心も観光地としても豊かになっていくんじゃないかなと。

宇都宮:そうすると既存の教育業界、観光業界がそうなっていくイメージなのか、全く未知なる人が…

山下:だから今度の大学みたいなやつも僕は完全に今までの大学を壊す話だろうなと思ってて、ぶっ壊す存在であるべきだと思ってるんです。

三木:対峙するんじゃなくても別の場所を作ってこっちにお越しくださいみたいな。

山下:そうそう。こっち側のほうがいいんじゃないのって徐々に徐々に…

三木:スタンフォード大学の先生が来ちゃうわけですからね。実際に。

山下:それも暮らしとか文化があるから来たくなるわけですよね。

三木:そうだよね。仮説としてはそういう風になるかもなと思ったけど本当にそうなるとは。ちょっとまだこれは秘密なので楽しみにしていてください。今日は色々と楽しいお話をありがとうございました。

山下:ありがとうございました。

 

対談動画

 

山下悠一さん

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マインドフル・ビジネスについて解説した書籍

本紹介

​書籍詳細を見る

「禅的」対話で社員の意識を変えた トゥルー・イノベーション 単行本(ソフトカバー) – 2018/6/1
三木 康司 (著), 前野隆司 (その他) 1,728 円

​内容紹介
AI時代に成功するイノベーションは「情熱」により導き出される。
しかし、ヒトは自身に眠る“真"の「情熱」の見つけ方を知らない。

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トゥルー・イノベーションとは、
他に例のない「本物(トゥルー)」のイノベーションであり、
他の誰でもない自分に「誠実(トゥルー)」なイノベーションである。
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近年では新しい企画や製品・サービスを生み出そうとするとき、欧米由来の「ロジカル・シンキング」「デザイン思考」「リーン・スタートアップ」「オープン・イノベーション」といった手法を用いることが一般的である。しかし、対象マーケットへのヒアリングとデータに基づいたファクトを積み上げるこれらの手法にばかり頼ると、結果として似たようなアイディアが市場に溢れることになる。なぜならば、ファクトはどこの企業でも、誰でもリーチできるようなものに過ぎないからだ。同じようなファクトから導き出されたアイディアは独自性に欠ける。

他に類を見ない本当に画期的なイノベーション(トゥルー・イノベーション)を生み出すために大切なのは、ロジックよりも情熱である。個人の心の中にしかない「本当にやりたいこと(欲しいもの)」は、市場リサーチの結果とは異なる独自性の高いものである。しかし、“真"の情熱は、個人の社会での立ち位置や先入観などの要因に阻まれて霞みがちであり、見つけるにはコツがいる。そしてそのコツは禅問答にあった。
本書は「zenschool(ゼンスクール)」という「対話」を重視する独自のイノベーション創出講座で数々の成功するイノベーターを輩出してきた著者が“真のワクワク"を探し出すためのメソッドを公開する。『日経スペシャガイアの夜明け』(テレビ東京)で取り上げられて話題になった、成果を上げるイノベーションを生む「対話」の技術とは? 解説は「幸福学」「イノベーション研究」の前野隆司教授(慶應大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授。

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『トゥルー・イノベーション』刊行記念トークイベント(2018/6/8)

イベントレポート

 

会社を渋谷から鎌倉に引っ越したわけ 〜鎌倉にマインドフルシティをつくる〜

会社を渋谷から鎌倉に引っ越したわけ
〜鎌倉にマインドフルシティをつくる〜

 2019年1月、これまで9年間、東京の渋谷を中心に活動をしていた株式会社enmonoを鎌倉に引っ越した。渋谷では大変おせわになり、多くのネットワークができたので、非常に感謝している。しかし、ここ数年、なんとなく東京の雰囲気があわなくなってきたということに気がついてきた。

 わたしが代表を務める、株式会社enmonoは、これまで9年の間製造業を中心に、新製品開発とイノベーションを興すための学校、zenschool(ゼンスクール)を運営してきた。現在は卒業生として145名のイノベータを育成する会社になっている。

 中には富山県で伝統的な金型製造を営んでいた会社が、ぶっ飛ぶほどのすばらしいデザインの美術館になったり、東大阪で加工業を営んでいた会社のオーナーが、製造業の経営者限定の会員制のスナックを作ったりと、これまでと全く異なるビジネスを展開する事例が増えてきている。(卒業生のイノベーション事例はこちら。)

 そんな、ぶっ飛んだ発想にたどり着き、それを実現してしまう人たちは、かならずしも、デザインやアート、イノベーションのイメージが強い東京の青山、六本木、渋谷、秋葉原などのキラキラした場所に集う若者たちではなく、むしろ地方の工場や、飲食店などで地道にものづくりや、お客さんに美味しい食事を出そうと地道に努力している、手に職がある方たちなどであることに気がついた。
 そう、どちらかというと内向的で、自己表現がうまくない、いわいる「イケてない」人たちが多いということに気がついたのだ。しかし、そのような人たちは、実は自分の内側には巨大な創造性をもっており、その内発的な動機を発掘することで、非常にクリエイティブで情熱的になるということがわかってきた。

 いわいる「イケてる系」のクリエーターは、自分の外にある情報を効率的に収集し、編集し創造するのに長けているのに対して、「イケてない」系のイノベーターは、外部の情報ではなく、自分の内なる内発的動機にアクセスして、自分の中から創造性と情熱をとりだし、これまで全く見たこともなかったようなイノベーションを興すということがわかってきた。これまでの卒業生の傾向から「イケてない系」の方が圧倒的にパワフルで、かつ完全にオリジナルなモノが取り出せることに気がついた。

 活躍している卒業生をみて、外ではなく、自分の内発的動機に基づいた絶対的なクリエイティビティが潜んでいるのではないかということであった。そう、ファクトの世界ではなく、人の心の中に莫大な創造性が眠っているのだ。


外発的動機か、内発的動機か。

 そんな、内発的動機の可能性に気が付きつつ、会社を移転する決断の決定打は、とある仕事に関連したワークショップを東京と、鎌倉で開催したことからだった。その時、われわれが主催する東京のワークショップに参加したのは、大手企業の経営企画担当などで、イノベーションの可能性を情報収集をしにきたのだという。しかし、多くの参加者からは、自分の肩書を外して世界観を持つことができず、ファクトに基づいた、型通りの思考パターンの質問(正直面白くない質問)がつづいた。

 一方、鎌倉でワークショップを行った場合、フリーランサーや、スタートアップ、そして一般の企業に勤めている方が参加されたのであるが、イノベーティブな新規事業になるかどうかは別として、ファクトには基づいてはいないが、自分の内発的な動機から出た質問の多くは、対象が内発的動機にもとづいて「自分ごと」化されており、インタラクションも非常に刺激的なものであった。

 この違いはどこにあるのだろう・・といろいろ思考してみた結果、東京と鎌倉それぞれの場所に引き寄せられた人の意図が、「外発的動機」であるところの、外からの指示や会社からのミッションにもとづいているか、「内発的動機」であるところの自分の中のワクワク感に基づいているかそこに違いがあるようだという結論に達した。

 「内発的動機」。やはり、コンクリートのビル空間に囲まれ、都会の様々なノイズに囲まれた環境にいると人間の感覚は自然と閉じてしまうのだろう。「感覚」を閉じてしまうと、自分のからだの反応に鈍くなる。結果として自分の内発的な動機「ワクワク感」に気がつきにくくなるということなのであろう。

 一方、鎌倉では自然も多く、感覚もオープンになる。その結果が、前に書いたワークショップに対する意識の違いになったのであろうと思う。それに気がついた時、ワーキングタイムのほとんどの時間を過ごす場所を、さまざまなノイズや閉鎖的な空間のため内発的動機に気が付きにく東京を働く場所に選ぶという選択肢は消えた。そして渋谷から鎌倉への会社の移転を決意したのだ。

自宅の材木座の海岸から富士山を望み、自然の感覚を開放する。

 

Mindful City Kamakura計画

 わたしはZen2.0という禅とマインドフルネスの国際カンファレンスを、多くの仲間たちと2年前(2017年)から立ち上げ、北鎌倉の建長寺という由緒正しい寺をお借りして、開催させていただいている。そのカンファレンスのキーコンセプトになっているのが「マインドフルシティ」という概念である。

「マインドフルシティ」この言葉の意味は、禅やマインドフルネスに惹きつけられ、世界中のクリエイティブな人たちが鎌倉に集まり、新たなビジネスを生み出すというコンセプトである。この言葉は、禅とマインドフルネスの国際イベントを企画していた2015年の暮れに、鎌倉駅前のワタミで、わたしと、鎌倉マインドフルネス・ラボを経営されている宍戸さん、現在、雑誌「WIRED」日本語版の編集長の松島さん(当時はNHK出版)、和服販売の鈴木さんという4名の仲間たちとの居酒屋トークの中で出てきコンセプトだった。
 
 初期メンバーの想いは、そもそも「マインドフルネス」の根源の一つは禅があるはずで、日本の禅の発祥地である鎌倉から世界に、禅をもっと発信していきたいという思いであった。そして、外の情報に惑わされるのではなく、自分自身を見つめることで本当に価値の有るものを自分自身から取りだすようなクリエイターが世界から集まるそのような都市にこのまちをしていきたい、そんなまちのコンセプトが「マインドフル・シティ」という言葉につながったのだ。

豊かな海と、山々にかこまれたマインドフルシティ鎌倉から富士山を望む

Mindful CIty Kamakuraの4つのコンセプト

 

鎌倉がマインドフルシティたる6つの理由

1.スタートアップインフラ
1-1.充実した食環境・保育環境

 鎌倉には着々と、スタートアップ向けのインフラが整いつつある。その大きな原動力が株式会社カヤックが推進する「まちの◯◯」シリーズという、事業者向けのインフラの整備である。カヤックは本社を鎌倉においている。鎌倉には飲食店は多いが、そのほとんどが観光客向けで価格も割高だ。鎌倉市内の企業で働く人間は、手頃で短い時間で食事ができる店が好ましい。

 しかし、観光客に人気の飲食店では長い行列ができるので、毎日行列に並ぶほど時間を無駄にできない。短時間でなんとか美味しい食事にありつけないのか?鎌倉の企業ではたらく人の昼食問題、この課題を解決したのが、「まちの社員食堂」だ。
 この、まちの社員食堂は週替りで鎌倉の人気店のメニューを食べられる仕組みになっており、一般的な社員食堂と異なり、メニューに飽きない。名刺や社員証などで鎌倉で働いていることが証明できれば、利用できる仕組になっている。鎌倉でスタートアップとして起業したとしても、食事が充実していないと長続きはしないのでこれは、非常にありがたい仕組みだ。

鎌倉市内の飲食店から週がわりで提供される社食。
毎週鎌倉の人気店のメニューが提供されるので、毎日が楽しみで飽きない。

この「まちの◯◯」シリーズのインフラとして、「まちの保育園」という鎌倉市内では働く家庭向け共同の保育園がスタートしている。また、これからも「まちの社員寮」、「まちの人事部」などぞくぞく準備中の模様だ。くわしくはこちらの鎌倉資本主義のサイトをご覧いただきたい。スタートアップの人間が、仕事しやすい環境をつくっていただいて、カヤックさんには感謝の限りである。


1-2.超高速インターネット回線

 あと、もう1点、スタートアップにはかなり重要なインフラとして、超高速インターネット回線がある。まだ日本全国では展開していないが、最近一般向けに提供を開始したソニー系列のプロバイダーのニューロも、幸運なことに 鎌倉でも利用可能となっている。 

 本社を鎌倉へ移転したtと同時に、鎌倉へ引っ越しをきめた同僚の家もニューロのインターネットを導入しており、まだ利用者が少ないニューロは鎌倉ではかなりのスピードが出ているようだ。

 会社の引っ越しで、自宅も鎌倉に引っ越した同僚のデータによると、ダウンロード900M/s、アップロード600M/s(これまでの約10倍程度)でるので、オンライン会議などの打ち合わせを行い際に、音声の遅れや、画面のフリーズがストレスになっていたが、このスピードであれば東京とでもストレスフリーで会議できるとのこと。

 わたしもニューロ光を導入したが、同じ鎌倉市内同士でニューロ経由で接続した場合、まるで同じLAN回線上の感覚で利用できる。この回線スピードはスタートアップにとって魅力であろう。実際に自宅でテストところ、チャンピオンデータで1.1G/sの数字が出た。(※スピードテストのアプリによってデータは異なります。)

自宅で記録したネットスピードテストの結果。
1.1G/sはチャンピオンデータかもしれないが、
それでも平常運転で400M〜600M/sは出ている。

 

2. 「感覚」を開かせるゆたかな自然

 海と山に囲まれた鎌倉には豊かな自然がある。自分自身はすでに鎌倉に住みはじめて12年経ているが、自分の12年前の自分と、今の自分と比較すると驚くほど変化していることにあらためて気がついた。

 12年前の自分はというと、もともとは右脳系だったが、東京で仕事しているときは意識して左脳に偏って演じていたと思う。イノベーション研究者としてだけではなく、企業人として、自社を他社とどう差別化するか、どう競争優位に闘っていくのかばかりを考えたいたし、会社の中ではうまく立ち回り、組織の中で政治力をつけるのかばかりを考えているような、典型的な組織人であり、自身の保身に走るような極めて自己中心的な存在であった。そして、ロジックで説明できない感覚的なものや、スピリチュアルなものは、あえて声に出してバカにするようなタイプだった。(思い出すと冷や汗が出る)

 そのようにワーキングタイムのほとんどを東京で費やし、取引先や同僚との食事や飲み会なども、東京の世界で完結させることで、自分の感覚が「閉じて」しまっていたことに気がつかなかったし、そもそも「感覚」を開く必要もなかった。

 しかし、住処を鎌倉に移し、自分の感覚を少しづつ開くようになって、仕事の仕方も少しづつ変化してきた。仕事のすすめ方も左脳的なロジック思考にアドオンして、自分の直感や感覚的な部分も重要視するようになってきた。そう、本来の自分自身にすこしだけ近づけたのだ。
 
 そして、今年に入り会社を鎌倉に移し、これまでの朝起きてすぐバスに飛び乗り、そのまま電車で移動、東京のオフィス街で働くという、感覚を閉じて一日をすごすのではなく、朝の静かな空気感の中で鳥の声、波の音ききながら1時間ほど瞑想をおこない、自転車で駅近くのオフィスに自転車通勤するようになった。そのようなライフスタイルに変化したことで、東京のビジネス環境では出てこない良い発想にたどりつくことが多くなっていると感じている。

由比ヶ浜から望む江ノ島
豊かな自然が閉じている感覚を開かせてくれる


 海や山など大いなる自然が近くにあり、日常的に自分のセンサーである、目・耳・鼻・口・体感覚に、自然の感覚をとりいれ、働きかけることができる環境があることが、あたらしい発想や、イノベーション、そして最重要な自分の内発的動機に気づくのに非常に重要だ。鎌倉はイノベーションの根源である、内発的動機にアクセスしやすい環境が整っていると感じている。


3.鎌倉の空気をつくる、神社・寺・教会とマインドフルコミュティ

 鎌倉には多くの、神社、お寺、キリスト教会など豊富な宗教施設がある。鎌倉という町を形作る上で、これらの宗教施設の役割は非常に大きいと言える。街全体のトーンが非常に落ち着いたものになるからだ。

 鎌倉には、3.11の鎌倉宗教者会議という、神道、仏教、キリスト教という宗教を超えて、互いの宗教を学んでいこうという会議がある。この会議のように、あらゆる領域を超えてつながっていこうという雰囲気がこの街には溢れている。鎌倉には、あらゆる宗教、人種、年齢、性別、すべてを包み込み融合して行こうという、あたたかく、大きな流れが渦巻いている。この雰囲気は言語化はむずかしいのであるが、我々はそのような街の雰囲気が「マインドフルシティ」をつくる非常に大きな要素だと考えている。

 お寺などでは定期的に坐禅会を実施しており、そこに参加をさせていただいたり、また当社が新たな登記をおこなった「旅する仕事場」というコワーキングスペースでは、毎月1回、臨済宗の僧侶のかたからの本格的な坐禅会で指導をしていただけるという幸運にも恵まれている。そのような体験のなかから、禅に対する理解を深め、それを自分の心の整理整頓や、経営者としての心構えなどの参考にさせていただいている。

 また、わたしは企業活動とは別に、Zen2.0という北鎌倉の建長寺という760年以上伝統のあるお寺をお借りして、世界の禅とマインドフルネスの有識者を世界中からお呼びして対話をするカンファレンスを、最初4人のなかまと立ち上げた主催者の一人である。このZen2.0に登壇者として参加し、鎌倉に大きなインパクトを受け将来的に鎌倉への移住をきめた米国の大学教授のもいるほど海外からの参加者にとっては、鎌倉は魅力的に映るらしい。

 このカンファレンスの企画を通じて、日本、米国、ヨーロッパ、アジア諸国の、僧侶・瞑想実践者・マインドフルファシリテーター・幸福学研究者・ボディーワーカー・脳科学者・AI研究者・意識変容研究者・ビジネスコンサルタント・アーチスト・アスリートと交流をしてきた。そして、イベントをいっしょにつくりあげることで一体感をもった、マインドフルなボランティアの方々とのコミュニティをつくりあげることできた。

 このコミュニティのメンバーは、鎌倉市内を中心に遠くは京都などのメンバーなどもふくまれている。Zen2..0コミュニティと呼んでいるが、あらゆる分野で非常にタレントをそなえたメンバーがコミュニティのメンバーになっていることがポイントである。メンバーの中には、西田哲学の博士号取得者、コミュニティリーダー、瞑想実践家、仏教研究者など多種多様である。わたしはこのマインドフル・コミュニティが、将来的に鎌倉をマインドフルシティにする大きな原動力になるとも感じている。

 このコミュニティは、実質的に毎年のZen2.0というイベントを企画・運営しつつ、同時に定期的に瞑想会や、泊りがけの合宿なども行い、対話を実践するなど、メンバーどうしの心のケアをおこなって、実質的なサンガ的な意味合いのコミュニティに成長しつつある。

わたしが共同代表を務める一般社団法人Zen2.0によって行われた
2018年9月開催の禅とマインドフルネスの国際カンファレンス「Zen2.0」の登壇者とボランティア


4.コンパクトシティそして、オープンネス、人の多様性。

 鎌倉は、コンパクトにまとまった街にもかかわらず、とにかく人の多様性が半端ない。

 東京や大阪、京都などの大都市にもいろいろな方々がいるので、意識的に動けば多くのネットワークできるだろう、しかし、鎌倉のポイントは街がコンパクトなので、意識的に動かなくても、非常にバラエティに富んだ方々とのネットワークが自然にできあがってしまうということだ。鎌倉のように、駅を起点とし、自転車で移動できる範囲の中に、多様な方々が集い、ゆるやかなネットワークを作っている街はないのではないだろうか。

 駅周辺には、お昼休みに、鎌倉で働いている方々が食事に行く店があり、主要なメンバーはだいたい顔見知りなので、ときには「まちの社員食堂」で、銀行前で、カフェで、駅に行く途中などでばったり出くわすことが多い、おもわず立ち話しになってしまう。立ち話しから、「こんど一緒にイベントしましょう!」とか、「コラボレーションしましょう」などの、話しへと容易に展開することも、よくあることだ。

 僕の周辺にあつまっている方々の肩書はかこんな感じ。まわりをみまわしただけでも。これだけの方々がいる。

 ヒッピー系コンサルタント・仏師・市役所職員・ハードウェアスタートアップ・パワーストーン販売事業者・アプリ開発者・スナックのママ・WEB開発会社経営者・お坊さん・アーユルヴェーダ料理研究家・瞑想実践者・国内の大学教授・米国の大学教授・尺八演奏家キリスト教シスター・映像ディレクター・市議会議員・シェアハウスオーナー・アカシックリーダー・写真家・組織開発実践者・雑誌編集者・戦略コンサルタント・飲食業経営者・ビジネスコーチ・投資家・人事専門家・小説家・グラフィックデザイナー・同時通訳者・コワーキングスペース運営者・建築家・アーティスト・スピリチュアルヒーラー・ミュージシャン・カイロプラクティック医師・神道研究家そして、そこにときどき日本の他の地域や、海外からの来訪者などが集い新しい出会いが産まれる。

 そして、それぞれの方がほとんど経営者か、フリーランサーなど、小さいながらも自分でビジネスを行っている方々がほとんどある。組織によらず、自分自身で判断して、時間やお金を使える人たちが、有機的につながっていくことは、新しいイベントや新規事業を高速で立ち上げようとした場合、非常に有効である。

スタンフォード大学から「マインドフルシティ鎌倉」を学びに1週間滞在

 海外から、日本の禅文化を学ぼうとする外国人も増えている。2019年の3月22日から29日にかけて、ANAの協賛を得て米国スタンフォード大学のマインドフルネスを基盤として教育を実践しているスティーブン・マーフィー重松教授と、スタンフォード大学ハートフルネスラボの学生7名が鎌倉の禅文化を体験するために鎌倉に1週間滞在をした。
 
 きっかけは2年前のZen2.0にスティーブン・マーフィ・重松教授が登壇者として登壇したことで、鎌倉の禅文化に興味をもっていただき、鎌倉とスタンフォード大学で短期の交換留学プログラムができないか?という話しなり、ANAの協賛を得て私が共同代表理事をつとめる一般社団法人Zen2.0でそれをサポートすることになったのだ。

スタンフォード大学ティーブン・マーフィー・重松教授と7名の学生、ANA社員と鎌倉市民との対話ワークショップを終えて

 学生たちは鎌倉で本格的な茶道体験、坐禅体験などをしつつ、鎌倉市のマインドフルな行政「マインドフル・ガバメント」を学ぶため、鎌倉市長とも対話をするなどした。また、マインドフルシティ鎌倉をつくるためと「旅x学び」を、ANA社員と鎌倉市民との対話を通して各自発表するなどして、ともにマインドフルシティをつくるためのマインドフルブレインストーミングを行い、いくつものアイディアをだすなどした。

 このワークショップでは、ブレインストーミングを行う前に十分なマインドフルワークを行い、安心・安全な場作りができていると、言語や文化を超えても高い質のアイディアをだせることが体感できた。

 このワークショップに参加して、スタンフォード大学の学生も多くの学びを得たと感じているが、スタンフォード大学一行にさまざまな学びの機会を提供した運営者側が多くの学びの機会を得たと感じている。

マインドフルシティ鎌倉の可能性に関して、鎌倉市の松尾市長を表敬訪問し対話をしたスタンフォード大学ティーブン・マーフィー重松教授とハートフルネスラボの学生7名。

 また、スタンフォード大学一行は、幸運にも鎌倉市長を表敬訪問させていただき、マインドフルシティ鎌倉の可能性、マインドフル・ガバメント(マインドフルな行政のあり方)に関しても意見交換をおこなった。学生たちは、市長との意見交換の中でマインドフルシティ鎌倉ならではの松尾市長の「サーヴァント型リーダーシップ」のあり方を感じ取っていた。日曜日という休日に貴重な時間をいただいた松尾市長に心から感謝を申し上げたい。

5.鎌倉市民が集い、街を良くするコミュニティ「カマコン」

 わたしは、個人的に5年ほど前から、鎌倉市民の非営利活動の場、「カマコン」のメンバーとして参加している。カマコンは当初はIT起業家のネットワークとしてたちあがったが、現在は多種多様な職業・肩書の方たちのあつまりであり、毎月1回の定例会には4つ程度の鎌倉街を良くしたいという想いの詰まったプレゼンテーションがおこなわれ、そのプレゼンテーションに対して集まった参加者からブレインストーミングを行い、アイディアを出すということをおこなっている。プロジェクトによってはクラウドファンディングで資金を募って活動資金にしたり、会社ができたり、Zen2.0のように国際的なイベントに成長したりする。

 スタート当時は、基本的には企業しか参加できなかったのであるが、自分は一市民として参加したかったので、途中から市民として参加をさせていただいた最初のメンバーとなった。

 カマコンでは鎌倉に特化したクラウドファンディングの運営メンバーとなったり、日本全国にカマコン的な活動を広げるメンバーとなり、日本中のさまざまな地域を訪問してブレインストーミングのお手伝いをしたりして、それらの地域との人的なネットワークをつくりあげることができるように活動をしてきた。そして、現在では、ブレインストーミングに特化したファシリテーターとして参加しており、毎回のブレインストーミングにはできるだけ多くの数のアイディアを出すということを目標に活動している。先に紹介した、「Zen2.0」もこのカマコンでプレゼンテーションを行い、生み出されたプロジェクトである。

6.マインドフル・ビジネス企業の集積

 現在、鎌倉周辺には人の心に気づきを与え、人間のこころのアップデートを促すマインドフルな要素を含んだ事業「マインドフル・ビジネス」の企業が集積しつつある。ここに上げた企業群はあくまでも一部であるが、これらのマインドフル企業は、人間の意識変容から組織開発、コワーキングスペースアカシックリーダー、IT企業、ヨガ、学童、モノづくり、ゲストハウスなどさまざまである。

企業・組織
◯トランステック / マインドフルネス

 

◯スピリチュアル


◯ヨガ・ボディワーク

 

◯ハードウェア

 

◯IT/WEBサービス/マーケティング

 

◯教育

 

◯ホテル/ゲストハウス/レストラン

 これら紹介をしたのはほんの一部の会社であり、昨年からさらに多くのマインドフル・ビジネスが鎌倉に集結しつつある。

「モノ→金融・IT→ココロ」:鎌倉に世界の未来産業を見る「マインドフル・エコノミー」


 これまで紹介してき要素をまとめると渋谷から鎌倉に会社を移転した理由は4つの大きなポイントになる。

1. スタートアップ向けインフラの充実
2. 心を包み込む豊かな自然
3. さまざまな宗教施設と慈愛のマインドフルコミュニティ
4. 多種多様な才能をもった人的資源とマインドフルテックに関連した企業群

 これらのポイントは、わたしが起業した9年前に起業した時は、必ずしもすべて整ってはいなかったが、その後、我々ががたずさわってきたモノづくりの産業のおおきな変容があった。それを以下に紹介したいとおもう。

 我々が渋谷から鎌倉へオフィスを移動したもう一つの大きな理由は、それは日本の産業のストリームが徐々に「モノ」(製造業)→「金融・IT」(金融業とIT業)と変化してきて、その先にあるのが「ココロ」(人間の心の変容)と変化にあるとひしひしと感じているからだ。「ココロ」(人間の心の変容)そのようなものが産業になるのか?実際多くの方にそのような意味のことを言われてきたし、日本のVC界隈からも、「マインドフルネス」銘柄はまず投資対象にならないという噂を聞いたばかりだ。

 しかし、われわれは将来的に非常に大きな産業になると感じている。その中心地が鎌倉になる、そう直感したから本社を鎌倉に移したのである。

当初、enmono社の対象としてきた産業は中小製造業をメインとする、ものづくり企業であった。伝統的な中小企業だけではなく、いわいるメイカーズ的な企業もあった。その中からいくつか成功事例を生み出すことができた。その後我々は資金調達を行うためにクラウドファンディング事業を開始し、ITビジネスとしての事例もいくつか実績をつくることができた。
 
 そして2年ほど前から、イノベーターの心に焦点を当て心を整え、本来自分自身がやりたいことに気がつくことによって、我々のサポートなしに事業が成長することに気が付き、心の整え方と具体的にそれをどのようにして事業にするのかという「ココロ(心)」の部分に注力するようになってきた。その集大成が我々がメインの事業としているイノベータ育成講座、zenschool(ゼンスクール)である。

 しかし、ココロの部分にそれほどのビジネスチャンスがあるの?と訝しく思うかたもいると思うだろう。実際多くのVCがマインドフル銘柄には懐疑的だろう。日本のテック企業で「マインドフルネス」関連で大きな収益をだしていると聞いた企業はほとんど無いからだ。しかし、ほとんど儲からないところにまさにブルーオーシャンが広がっているのである。

 このような日本のマインドフルネスを巡る環境を尻目に、米国では日本の数年先をいっているようだ。2019年2月7日のスタートアップ企業の情報を発信している米国Venture Beatの記事によると、マインドフルネスのApp開発企業Calmは96億円の資金調達を完了したということだ。

 意外かもしれないが、この会社は創業してから派手ではないが、地道に数年にわたって確実に収益をだしつつあり、さまざまなバリエーションのマインドフルアプリを開発している。VCの想定した企業バリエーションは1,000億円を超えたということである。マインドフルネス関連企業として初のユニコーン企業となったということである。

マインドフルネス銘柄で1000億円を超えるユニコーン企業入りを果たしたClamの記事(出展VentureBeat)

 この企業の成長の事例は単なる幸運な一事例なのだろうか?

 いや我々はこれは、これに続く企業がまだまだ出てくると感じている。実際これに続くような人の心のバージョンアップをめざす企業群は米国ではたくさん出てきている。そのような企業群を米国ではどのように呼んでいるのか? 米国では、これを「Transtech(トランス・テック)」呼んでいるのだ。昨年の11月に米国のシリコンバレー、パロアルトで「Transtech Technology Confrence」というトランス・テック業界向けのカンファレンスが開催された、まだ1,000人規模の小さなカンファレンスであるが、このカンファレンスに鎌倉の仲間が参加したことで、カンファレンスの詳細な情報を聞くことができた。

 知り合いのITジャーナリストの湯川さんがこのカンファレンスに参加して、非常にわかりやすい記事を書いていて、将来このカテゴリーの市場はなんと330兆円になると想定されているとのことだ。

カンファレンスのくわしい内容に関しては、こちらをご覧いただきたい。また、トランステックの技術に関してはこちらの動画が非常に参考になる。

各産業セクターのTranstechの市場規模の予想
(Transtech Technology Confrence 説明動画よりキャプチャ)

マズローの5段階欲求説とその先にある第6段階の「自己超越欲求」
(Transtech Technology Confrence 説明動画よりキャプチャ)

市場規模330兆円?」と聞くとなんとなく眉唾(まゆつば)感がある数字であるが、実はこの数字が昨年の11月に、パロアルトのカンファレンスで発表される3年前の2015年に、我々が10年後の2025年にこの市場規模について試算した結果が211兆円だった。この数字を試算して、公にリリースしたのであるが、ほとんどの反応が「信じられない」「まゆつばだ」という反応であった。しかし奇しくも、米国で試算されたトランステックの世界市場規模も同等に数百兆円という規模になったこと自体、この市場の可能性を示していると考えている。

 我々はこのカテゴリーの市場を。「マインドフル・ビジネス」と命名していた。具体的なマインドフルビジネスの定義と内容に関してはこちらのページを参考にしていただきたい。

 

鎌倉がマインドフル・ビジネスの中心地へ

 われわれが定義する「マインドフル・ビジネス」の日本での震源地にこの鎌倉がなるであろうと想定している。マインドフル・ビジネスの詳細の定義に関しては、こちらを読んでいただきたいのであるが、あえて定義すれば「人の心の能力向上を支援するビジネス」ということになる。

 マインドフル・ビジネス〜心の能力向上を目的としたビジネス〜これまでは、人の心の安定や気付きをあたえることは宗教が大きな貢献を果たしてきた。しかしながら、これからは宗教だけでなく、民間の商業活動を通じて人が心の安泰や、気づきなどを得ようとする人々は増えていくだろうと想定している。

 なぜならば、宗教だけに心の安定をもとめる時代から、心の安定の要素を含む数多くのアクティビティが増えているからだ。たとえば、ヨガ、瞑想、対話の講座、ジョギングやトレイルランニング太極拳、呼吸法、ヨットなど体と心にかかわるスポーツやアクティビティは宗教だけしかなかった時代と比べ飛躍的に増えている。

 

伝統に裏打ちされた叡智があって初めてテクノロジーレバレッジが効く

筆者が入居しているコワーキングスペースのメンバーと一緒に、定期的に行っていただいている北鎌倉浄智寺での坐禅会後の1枚。

 鎌倉には多くの神社・寺・キリスト教教会などの伝統的な宗教施設がありまた、カヤックをはじめとしたITのスタートアップが少しづつであるが増えてきているが、インターネットをはじめとするテクノロジーがうみだされたのは、インターネットの前身のARPANETからもカウントしても、せいぜいここ50年である。

 それに対して、鎌倉にある宗教に目を向けると、鎌倉における神道は1000年以上、また仏教も800年近くの歴史がある。「人の意識の変容」という分野では、それぞれの宗教はそれだけの年月、多くの臨床で試行錯誤をして、各体系のなかで独自の修行法を編み出していった。そしてその修行法は体系化され、完成されていった。

 現代に生きる我々はそのそれだけの年月をかけて生み出された叡智を受け継ぎつつ、インターネットやAIなどのテクノロジーの力を借りながら、それらの意識変容のための技法をどのように一般化させていくのかを試みる流れの中にあると言ってよいだろう。

 この街はこれまでの伝統的な宗教をベースに「マインドフルシティ」へと変貌を遂げようとしているのだ。当社は、この鎌倉でマインドフルビジネスを興す人を集め、支援することで新しい産業を起こすべく渋谷から鎌倉へ本社を移転したといっても良い。

 マインドフル・ビジネスに関しての詳細は、こちらを参照いただきたいが、ポイントはこれから先進国になればなるほど、AIやロボットの普及発達によって、労働集約的な仕事はどんどん少なくなっていく、その次にくるのは知識産業である、会計士、税理士、弁理士、弁護士などであるが、実は一定のルールに基づいた作業こそがAIの得意中の得意な分野であり、ルールに基づいた仕事自体もAIに置き換わられていく。

 その結果、本来個人の持つ特有の心の特性により焦点があたることになる。その人間がどのような心の特性を持っていて、どのような夢があり、どのようなことを成し遂げたい人間なのか、そこに焦点が当たる時代になる。「自分とは一体何者か?」や、「自分が本当になにをしたいのか?」ということに気がつくことが、創造性の源になる。さきほどから何回か言及している内発的動機という部分である。

 また、それ以外でも、心のもつ可能性である、慈愛心・集中力・レジリエンス・EQなどをアップデートしていくことを支援する仕事が、マインドフル・ビジネスの中心的な考え方になる。

 これまでの時代は、宗教が人間のこころのアップデートの手伝いをしてきた、しかし、これからはひとの心のOSを書き換えるのはかならずしも宗教だけではなく、さまざな社会人向け教育、ワークショップ、時にはAIやロボットの力をかりた総合的な取り組みが必要であり、それがビジネスとして次第に大きくなっていくだろうということである。

 このような人の心のアップデートを支援する要素をもったビジネスが、すでに、ほとんどすべての産業の中に存在しているが、それを「マインドフル・ビジネス」ということでまとめたわけである。そのように人間の心のアップデートを推し進める部分は、多くの産業の中にふくまれているが、今後はそのパーセンテージが、例えばこれまで数パーセントであった部分が、数十パーセントまで上がっていくのではないかという予想である。

鎌倉の材木座にあるカフェで、海に沈む夕日を眺めながらのワーク
こういった「感覚」を開かせるワーキング環境も新たな発想を生み出す重要インフラとなる。

 このブログの中で書いた「マインドフル・ビジネス」や「マインドフル・エコノミー」というアイディアの着想を得た2015年頃ではあくまでも仮説でしかなかった。しかし、先にも書いたように、非常に近いコンセプトが米国のシリコンバレーで開催されたカンファレンスの中で、330兆円という市場規模が提示されたり、われわれが定義していた「マインドフル・ビジネス」とほぼ同じ定義で「トランステック」という考えが示され始めている。

 「101匹目の猿」という有名な架空の寓話を聞いたことがあるかとは思うが、この架空の寓話のように、一方で米国シリコンバレーと、太平洋を挟んだ日本の鎌倉でほぼ同じような着想を得て、ほぼ同じような企画の「Transtech Technology Confrence」と、鎌倉で「Zen2.0」というカンファレンスを開催していたということが非常に奇妙に思える。実際当社が鎌倉に移転した直後の2月、シリコンバレーにあるトランステックを開催するNPOに訪問して、人類の意識を巡るビジネスの可能性について対話をしてきた。

 シリコンバレーの考え方は、かなりテクノロジーよりの考え方であった、一方、鎌倉の我々の考え方は、伝統的な神道・仏教・キリスト教などの宗教で培ってきた人類の叡智をベースにしつつ、そこにテクノロジーレバレッジをかけ、人類意識のアップデートを広く普及させるという考え方の違いはあったものの、人類の意識進化に関連したこの市場は我々が想像していた以上に急速に成長していくだろうという部分では、ほとんど同じであろうという結論に達した。

 この鎌倉が、伝統とテクノロジーそして豊かな自然をそなえた真の「マインドフルシティ」として次の10年に大きな飛躍する可能性をもった街として、Zen2.0やカマコンで知り合った仲間たちとこの街をアップデートしていければと考えている。

 その時までには、すべての世代がともに助け合って、活き活きと生活しながら、慈愛に満ちたマインドフルなコミュニティを兼ね備え、世界から禅やマインドフル・ビジネスに関心をもったクリエーターや起業家たちが訪れる、落ち着きがあり、かつ活気のある街を目指して活動をしていきたい。

2019年4月9日
三木康司

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マインドフル・ビジネスとそれを生み出すイノベーション手法に関しては自著、『「禅的」対話で社員の意識を変えた トゥルー・イノベーション 』にて詳しく解説をさせていただいています。もしご興味があれば手にとっていただければ幸いです。

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鎌倉でマインドフルビジネスを学び実践する学校

 

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マインドフルビジネス

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プロローグ

マインドフルネスとは、その言葉のごとく「マインド(心の注意)」が「フル(満たされている)状態」、つまりは心がどこかに拡散していなく、自分のまわりで起きている事象に、すべての事柄に100パーセント集中している状態です。

 禅の言葉では「三昧」(さんまい)とも言い換えることができると思います。


 これまでの伝統的な仏教などの宗教の中で使われてきた「瞑想」をツールとして切り出し、宗教性を排除したうえで、瞑想を活用することで、今ここに集中し集中力やEQ,対ストレス性などの向上を目指す活動です。現在では、代替医療の現場や教育や経営で使われてきているものです。


マインドフルネスの起源は、禅だとも、原始仏教だとも諸説ありますが、そのオリジンはテーラワーダ仏教におけるサティ(気づき)がベースになっていると説もあります。しかし、正確なところはわかりません。


 日本禅のアメリカへの布教の歴史を紐解けば、1893年にシカゴで開催された万国宗教会議において、日本の臨済宗の釈宗演老師がはじめて英語で講演を行いました。その後、釈宗演の弟子鈴木大拙は、1949年から1958年までの二度、アメリカを中心に長期滞在し、西洋社会に禅を広めました。そして、もう一人の弟子である千崎如幻は、1922年からサンフランシスコで「浮遊禅堂」(floating Zendo)をはじめ、日系人アメリカ人に禅を指導し、日本文化などについて講義を行ったということです。その後太平洋戦争中に突入し、日本仏教の米国での活動は一時弱まります。

 戦後、1950年〜60年代に、米国カルフォルニアで、曹洞宗を中心とした幾つかの禅道場ができたことをきっかけに、その後多くのアメリカ人が参禅をおこないました。影響を受けたアメリカ人とカウンターカルチャーなどが結びついた一部の神秘主義のブームが起きました。参禅したアメリカ人の中にはスティーブ・ジョブズ氏も含まれていたということです。


 このムーブメントの後、70年〜80年代にかけて次第にカルフォルニアから発信して米国の中に、禅が溶け込んでいきました。その後2000年代に入るとシリコンバレーのITベンチャーの経営者、従業員などが瞑想を行い、ストレスの低減、集中力向上、組織内での人間関係の円滑化などに効果があるということが経験的にわかってきたのです。


 最近では、脳波を測定することで、瞑想の集中力強化・ストレスの低減などの効果が科学的に証明されつつあり、米国のマサチューセッツ大学医学部では瞑想の医学的なアプローチからの研究論文が多数出版されていたり、スタンフォード大学ではマインドフルネスの正式な授業があるほどです。


 マインドフルネスは当初、GoogleFacebookまたLinkedinなどのベンチャーでの導入が多かったようですが、現在では、IT業界では老舗のインテル社なども全世界の10万人の社員に対して社員教育の中で瞑想をワークショップの中にとりいれた研修プログラムを導入しています。

 欧米では5年ほど前から、このマインドフルネスな状態を一般人や企業に提供することをビジネスにする、トランスフォーマティブ(意識変容)サービスやマインドフル関連ビジネスが立ち上がってきています。日本でも今後、このマインドフルな状態を提供するビジネスがたちあがって行くであろうとおもわれます。

 このマインドフル・ビジネスに関する記事がLife Hakerの日本語版で報道されています。

Life Hacker 日本語版記事

『米国で熱く模索される「マインドフルネス・ビジネス」の可能性。有名企業への導入や科学研究も進む』


マインドフル・ビジネスの定義を試みる


 これまでは、マインドフル・ビジネスとは、一般人や企業向けの研修などいわいる「教育」のカテゴリーのみと考えられてきましたが、あえて新たな切り口でマインドフル・ビジネスの定義をしなおしてみようと思います。

当社の定義ですが、「マインドフル・ビジネスの定義」を「人の心の能力向上を目的としたビジネス」と定義してみたいと思います。

 人の心の向上の要素として、チームで仕事をするために必要不可欠な他人を思いやる心である「慈愛心」・また家庭成生活だけではなく、仕事にも必要な、今目の前にあることをこなす「集中力」の向上、現代社会で必要とされているストレスに対する回復力の向上、心の知能知能指数であるEQの向上、そして多くの企業で最も必要とされている、イノベーションのために必要な「創造性(力)」の向上の5つとなります。


 これまでは、マインドフル・ビジネスとは企業向け研修や、個人向けのカウンセリング、または代替医療などの一部の領域に限定されていました。しかしながら、各業界のなかにこの数年で「マインドフル」の萌芽が芽生えてきており一般にマインドフルビジネスとは関係がないと思われている領域でも、実は「マインドフル」になりつつあります。


 そこで、現在のあらゆる産業の中にすでに「マインドフル」な状態を作り出すという目的のビジネスがすでに含まれていると考えてみました。


 例えば、今流行の「IoT」産業の中にも、MUSEのように人間の体のバイタル情報をセンサーでキャッチし、それを自らにバイオフィードバックをかけ、自分自身の状態をモニタリングすることで、「マインドフルな状態」を自分で作り出すガジェットなどが登場しつつあるからです。


 またAI(人工知能)の業界においても、仮の話ではありまするが、悩みを抱えている人の話をひたすら傾聴することで、人の心を慰める作用をもたらしたり、また禅問答のような対話をすることで、人に気づきを与え、人の心の成長をたすけるようなAIが登場すれば、それは十分にマインドフルビジネスのカテゴリーに入ると思われます。


 つまり、それぞれの産業の中に「マインドフルな状態を目指す」製品やサービスなどが、すでにもう含まれており、それを切り出して合算すれば、大体の「マインドフル・ビジネス」世界市場規模になるのでは?と、ざっくりっと考えたわけです。

マインドフル・エコノミーにおける顧客像と価値観

​ マインドフル・エコノミーのなかで生み出されるビジネスの対象となる消費者の属性は、米国、ヨーロッパの一部、日本、など限られた先進国の中の富裕層になるであろうと想定しています。先進国で資本主義が十分に行き渡り、モノやサービスがすでに身の回りにお溢れているような国の中でも富裕層のカテゴリーにあたる人々であり、そのような富裕層においては、生活基盤は安定しており、さらに家や車など生活に必要な基盤はすでに持ち合わせていると考えています。

 そのような、マインドフル・ビジネスが多く提供される市場である、マインドフル・エコノミーの中で、顧客が価値と感じる価値観を4つに分けて以下のように定義してみました。

1.​  Functionality (機能)

提供される製品やサービスの基本的な機能のことです。たとえば、洗濯機であれば最低限の洗濯ができることであり、冷蔵庫であれば冷蔵庫内にある食品が設定した温度で冷やされることです。例えば日本において、製品・サービスにおける「昭和」の価値観では、これまでの商品において基本的な機能自体が製品やサービスに不足していたことから、重要視されていました。しかし、昭和から平成の時代の流れと共に、その機能の価値は相対的に半分となり、変化していきました。昭和から平成にと機能とそれ以外の価値を比較すると、感覚的にはちょうど半分・半分という段階にあると定義しています。

2. Design (デザイン)

​ デザインは一般消費者が商品、サービスを選ぶ際の最も重要な要素の一つであり続けました、元号で言えば昭和の末期になり、ときには機能性を凌駕するほど重要な商品・サービスの重要な価値となりました。ちょうど平成が終わる頃には、「デザイン」は機能性を覗いては最も大きな商品に対する大きな付加価値となりました。しかし、一方でデザイン優先の価値観は、商品のライフサイクルをはやめ、時にはすべての商品・サービスがトレンドに応じて変化するために、外観上非常に似通ったものにさせてしまうなどの弊害もうみだしたのです。

3.​  Experience  (体験)

 マインドフルエコノミーの中で対象となる顧客にとっての製品価値にふくまれる「体験」の価値は非常に大きなものになっていると考えています。他の先進国と同様に、日本においての体験価値は平成に入り大きくなってきており、平成の最後にはこの体験価値が一般消費者向けには大きな割合を占めるようになってきています。

4.​  Social / Loaclity (社会性)

 マインドフル・エコノミーの対象とする顧客は、これまでの資本経済の中で多くの製品やサービスを体験した、いわば十分に資本守護の恩恵をうけ、さまざまな製品・サービスでトレーニングされた顧客です。そのようなトレーニングされた顧客にとって、これまでの資本主義の先にあるもの、それが商業活動として提供されるのがマインドフル・ビジネスであり、そのような顧客は自分が購入する製品やサービスが地域社会にどのような貢献があり、またどの環境に対してどの程度の貢献ができるのかということが重要になってきます。

5.  Self-transformation​ (自己変容)

 この概念は、これまでの1で述べたExperience (経験)と混同されやすいのですが、マーケティングの世界で言われる「Experience (体験)」とは異なった概念です。マーケティングのなかで定義されるExperience(体験)は、時間が経つに連れて、体験からくる記憶や、意識の変容などは失われていきますが、Self-transformationは「不可逆なも」のであると定義しています。つまり、一度Self-transformation  experience(自己変容経験)を体験したユーザーは、個人の中の価値観が大きく変化し、その意識の状態は体験前とことなり不可逆的に変容します。マインドフル・エコノミーの中で提供される製品やサービスの最終的な目的が、Self-transformation(自己変容)を目的としている商品であると想定しています。

時代とともに変化する消費者の商品・サービスに関する商品価値

マインドフルビジネスの対象となる消費者の製品・サービスに対しての価値観の変化を、日本人が感覚的にわかりやすいわかりやすい元号で表してみました。

昭和の価値観: 

 一般消費者向けの市場において、製品が必要とされる基本的な機能を果たすこと必要な時代でした。なのでまずは機能性を重視したのが、昭和の時代の価値観であったということが言えます。しかし、昭和から平成へ元号が移行するころになると、一般消費者は次第に機能性以外の価値を求めるようになってきました。そ大きなところがデザイン性でした。

平成の価値観: 

 平成時代の価値観では、一般消費者はしだいに商品やサービスの機能以外の価値に重点を置くようになってきました。いわいる付加価値と言われるものですが、平成の末期の現在では、機能性と機能性以外の部分の価値観(デザイン・体験・社会性)がちょうど50パーセントづつというところまできているのではないでしょうか。

令和の価値観:

 日本は今年、あらたな元号になります。日本が新しい時代に入っていくのです。モノやサービスが隅々まで行き渡った日本という先進国、その中で先端をいく顧客層は何を重要と感じるのでしょうか? 

 この新しい時代に顧客が重要視する商品やサービスの基本的な機能はあって当たり前、さらにデザイン・体験・社会性に価値の重点をおくようになっていくでしょう。そして、その先にある顧客の価値観が、Self-transformatoin (自己変容)を置と考えています。それが現在のマインドフルネスの流行につながっており、自己変容を引き起こさせてくれるような要素がある製品、サービスに価値を見出す顧客がふえていくと考えています。

マインドフルビジネスの市場規模

その市場規模はどれくらいあるのか?


 はたして、マインドフルネス市場の大きさはどの程度なのだろうか?という疑問から、海外の調査レポートなど散々に検索しても、それらしき数字は出てきませんでした。

 海外のWEBを探ると、雑誌フォーチュンのこのこのような記事や、

NYCの関係者がまとめたMBSR(Mindfulness-Based Stress Reduction Program)の市場規模など

を見つけることができました。​そもそも、未だマインドフルネス市場は立ち上がっていないのかもしれませんし、立ち上がっていない市場を予想するのは非常に難しいのだと思われます。

​ (2018年12月5日追記:)2018年11月、サンフランシスコにて”TRANSTECH”という小規模なカンファレンスが開催されました、そのカンファレンスで提示された、トランスフォームテクノロジー(マインドフル・ビジネスのカテゴリーと重なる)の市場規模は、300兆円であると試算されています。

我々の試算である211兆円を上回る規模ですが、我々が予想していた数百億円規模になるということは、我々と同じであると認識しています。まずは、マインドフルネス・ビジネスとしてどのような市場カテゴリーがあるのかということを以下にまとめてみました。

 

市場カテゴリー1:IoT&ものづくり

IoTとモノづくりの市場におけるマインドフルネス市場の予想を考えてみましょう。マインドフルネスのブームとともに、自宅でも坐禅や瞑想を行う方が増えてきています。


 自宅の近くに禅寺があるような恵まれた方は、定期的にお寺に通い指導をしていただけば良いのだとおもいますが、そうではないメディテーターのために、IoTを用いて瞑想をアシストするような必要性が出てくるのだとおもいます。

 そこで、IoT市場でも、先の取り上げたMUSEのようなマインドフルネス瞑想をアシストするような製品が登場すると思われます。マインドフルに特化したセンサーのようなバイタルセンサーなども含まれると考えれられる。この数字はあくまでも既存の市場データを参考にして、非常にざっくり算出してみました。

​​ 追記:2019年2月7日の米国Venture Beatの記事では、マインドフルビジネス初のユニコーン企業(※ユニコーンとは市場価値が1000億円以上とされる企業のこと)として、 米国のマインドフルApp開発企業のCalmを報道しています。シリーズAとして90億円台の調達をおこない、企業価値としては1100億円であると報道されています。

マインドフルネス関連の企業として、企業価値が初めて1000億円を超え、ユニコーン企業企業になったマインドフルApp開発会社「Calm」をつたえる報道記事に関してはこちらを御覧ください。(出所:Venture Beat)

マインドフルアプリ開発会社Calmのホームページ

 

市場カテゴリー2:自動車自動運転・AI・ロボット分野

 MuseのようなIoTデバイスだけではなく、将来は自動車などのモビリティ分野でも、車の運転ハンドルから心拍数や体温、呼吸数などの人体データー取得し、運転者の心理状態を予測して、運転者の心理状態を運転するに最適なものに誘導するような仕組みが考えられます。


 例えば、運転者の精神状態が、興奮状態にあれば、落ち着くための音楽や、匂いを車内に提供し、最適な心理状態にして、事故率を下げたりするような装置のカテゴリーも、実は人の心の能力(集中力)を高めたりというアプローチになるので、マインドフル・ビジネスに入っていくのではないでしょうか。


 同じように、バイタル・センサーにより、生体情報を読み取り、そこからクラウド上にデータを飛ばして計算を行うことで、心理状態を推察できるようになると、人の心がわかる各種デバイスが出来上がるようになります。


 ところで、Appleの最新IOS10でもApple Watchとして連携し、生体データを取得していくデータロガーの中のヘルスデータのカテゴリーの中に、マインドフルネスが追加されたということで、今後、マインドフルネスのニーズがいかに高まっているのかがわかり、このような流れは加速していくことでしょう。

 また、その他の事例として、最近、川崎重工が発表した「人格を持つ“AIバイク”」コンセプトの中でも、 ”ソフトバンクグループのcocoro SBが開発した「感情エンジン・自然言語対話システム」を活用。ライダーの話す言葉から意思や感情をAIが理解し、言語を使って意思疎通する。ソフトバンクグループのcocoro SBが開発した「感情エンジン・自然言語対話システム」を活用。ライダーの話す言葉から意思や感情をAIが理解し、言語を使って意思疎通する。” とされています。

 このコンセプトはユーザーの感情からバイクのセッテイングなどを少しづく変えていくということでありますが、将来的にはユーザー側に音や振動、対話などを通じてユーザーの心を落ち着け、運転に最適な心理状態へ整えるということもできると思います。


 そのように、ユーザーの声、体温・心拍などの生体情報から人間の感情を読み取る「感情エンジン」は、これから様々なデバイスやロボットに組み込まれる非常に重要な技術になると思われます。この感情エンジンを組み込んだOSは、将来的にAI・ロボット技術の根幹技術になるのかもしれません。

 

市場カテゴリー3:教育

 教育分野は、もっともわかりやすいマインドフルネスビジネス分野です。マインドフルネスを教育プログラムの中に導入した結果、人の心の能力である「集中力」、レジリエンス(対ストレス性)、「創造性」などが向上するということが言われています。


 先進国などでも、貧困地区の公立学校における児童の集中力欠如により学級崩壊が深刻な問題になっているということですが、そのような教育環境の中でマインドフルネスを導入することは、児童の精神の安定と「集中力」の向上、その結果としての学力の向上が見られるという研究なども、ヨーロツパのポジティブ・サイコロジーでの学会などでも発表されています。


 とくに瞑想を中心軸においたマインドネスプログラムの導入は、とくに物理的なものを購入する必要はなく、導入にそれほどコストがかからないことから、安価な投資て公共教育のレベルを押し上げる有効な手段として考えられているようです。


 公共的な教育機関においての児童の学力レベルがあがれば、15〜20年後には、卒業した児童が生産人口となり、生産人口である地域住民の収入レベルがあがり、結果として住民税の向上を見込めるとも考えているようです。


 また、この分野では義務教育だけでははく、社会人教育のなかでもマインドフルネスは期待されています。


 例えば、企業研修などのカテゴリーでは、GoogleやSAPなどですでに導入されているリーダーシップ教育「Search Inside Yourself」などがあります。ストレスに対するレジリエンス(対ストレス性能力)、創造性の向上などの効果を期待されており、今後発展の可能性が非常に大きくなることが期待されています。


 義務教育での事例では、英国議会の有志メンバーによってまとめられたMindful Nation UKというレポートの中で英国のマインドフルネスの導入の可能性に関してレポートしており、その中では、公共教育の中だけではなく、刑務所なかでのマインドフルネス導入が提唱されています。英国では英国議会の中でマインドフルネスを支援する超党派の議員連合があるようで、英国議会において、議員による3分間の瞑想も実施されたということです。

英国議会有志議員らによる“MINDFUL NATION UK”レポート

 

市場カテゴリー4:ヘルスケア

 マインドフルネスはストレスに対する、レジリエンス(対ストレス性能力)を向上させ、免疫力を上げることが米国マサチューセッツ大学の医学部などが中心として行ってきた研究でわかっています。


 日本の大手企業においても、最近は特にメンタル的な問題顔抱えている社員が多い中で、マインドフルネスがそれらの社員の精神的な問題の改善を促すものとして期待して良いでしょう。この分野では、B2Cだけではなく、B2Bの市場のニーズが非常に高いことから、欧米を中心として企業向けのマインドフルネス・ワークショップなどが盛んに導入されています。


 また、米国の一部の病院では、激しい痛みを抱えている患者のためにマインドフルネスが導入され、成果を出していることことから、先進国を中心に医療分野でのマインドフルネスが進むでしょう。


 また、人工知能の発達によって、家庭の中でも音声認識技術を活用し、インターネットでつながったクラウド上で行われて、フィードバックが戻るようなAIが導入されていくでしょう。さまざまなセンサーを用いて人の心理状態を把握することで、人の心を落ち着かせるようなAIコーチングやAIメンタリングなどの市場も広がることが想定されます。

 これまでの観光業は、単純に風光明媚な場所などの観光地めぐることがメインでした。これからの観光は、ヒーリングを目的にいわいるパワースポットを巡ったり、そのようなな場で「リトリート」といわれる

ヨガやマインドフル瞑想などを組み込んだ体験型のツアーが増えていくでしょう。


 「リトリート」の中では寺社仏閣や自然の中でもスピリチュアルな場所などで、瞑想指導者により瞑想指導を受けたり、自然の森に入り、その森の中の沈黙の中で、自分自身を見つめなおすことなど、これまでの観光地へいって、お見上げものを購入するような観光ではなく、人の心の能力を上げるため、「リトリートツアー」に参加したり、リトリート参加者のための、注目ヨガスタジオや瞑想する施設をそなえたホテルや旅館なども必要になってくるのだと思います。

 

市場カテゴリー5:アート

 瞑想や禅を行い、瞑想中に出てきたイメージなどに触発され、生み出された作品、あるいは音楽なども、今後ますます盛んになって行くでしょう。


 実際に、国内外多くのクリエーターが、禅や瞑想にインスピレーション禅の道場に通っていましたし、今後も其の流れが加速するでしょう。芸術家や小説家などのクリエイティブ人材のなかでも禅や瞑想を実践する人々が増えていくことでしょう。

 

市場カテゴリー6:コンテンツ産業

 このカテゴリは娯楽とも重なるのですが、音楽・映画・アニメ・小説・漫画など、人に「気づきをあたえる」ような内容のコンテンツが増えて行く事になります。


 すでに書籍の分野では「自己啓発系」と呼ばれているカテゴリーの書籍が、国内のみらず海外でも確立されています。場合によってはその関連の書籍の売上は頻繁にベストセラーに入ることもあるような流れになってきています。


 また映画の分野でも、おなじく「自己啓発系」「気付き系」とも呼ばれるカテゴリーの作品はフィクションだけではなくドキュメンタリーなどにも広がっていくでしょう。

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市場カテゴリー7:金融

「金融」と「マインドフルネス」というと、異なるイメージがするかもしれませんが、「鎌倉投信」さんや、「さわかみ投信」などでやられている、人の顔が見える形の長期的ファンドであったり、場合によっては、プロジェクト共感型のクラウドファンディングや、P2Pのローンなどのソーシャルレンディング、あるいはマイクロファイナンスなどのカテゴリーも、貸し手と借り手とともに、マインドフルな思考ににもとづいて融資・投資をおこなっていく必要がでてくるので、マインドフル・ビジネスの一部として試算に組み込みました。

 

市場カテゴリー8:観光

 これまでの観光業は、単純に風光明媚な場所などの観光地めぐることがメインでした。これからの観光は、ヒーリングを目的にいわいるパワースポットを巡ったり、そのようなな場で「リトリート」といわれるヨガやマインドフル瞑想などを組み込んだ体験型のツアーが増えていくでしょう。


 「リトリート」の中では寺社仏閣や自然の中でもスピリチュアルな場所などで、瞑想指導者により瞑想指導を受けたり、自然の森に入り、その森の中の沈黙の中で、自分自身を見つめなおすことなど、これまでの観光地へいって、おみあげものを購入するような観光ではなく、人の心の能力を上げるため、「リトリートツアー」に参加したり、リトリート参加者のための、ヨガスタジオや瞑想する施設をそなえたホテルや旅館なども必要になってくるのだと思います。

実際、2919年に入りオンライン旅行会社のアゴダで日本、オーストラリア、中国、イスラエル、サウジアアビア、フィリピン、アラブ諸国連邦の7カ国で実施した調査によると、2019年旅先で体験したいことに関する調査で、すべての年齢層において、セルフケア・リトリートが2位にランクインしています。まさに、マインドフル・ツーリズムの大きな流れが来ていると思われます。記事の詳細はこちらをご覧ください。

 

市場カテゴリー9:娯楽(ゲーム・アミューズメント・アウトドア・レジャー・スポーツ)

オンライン・ゲーム、ゲームAPP、アミューズメント・パーク、スポーツの分野などでも、人の心の能力向上や気付きをあたえるものが増えるでしょう。

 大きな変化は、アウトドアやスポーツ分野で、ヨガなどにマインドフルネス瞑想を組み合わせたものや、「トレイルラン」X「マインドフルネス」など、さまざまな既存のスポーツに「マインドフルネス瞑想」を組み合わせるタイプのスポーツが増えていくでしょう。


 「既存のスポーツ」x「マインドフル」が増えると、たとえば野外での瞑想をするのに適したウェアや、ヨガマット、あるいは坐布のようなギアが開発される必要があります。


 また、新たに生み出されたマインドフルなスポーツを教える教室やワークショップなども生み出されることになります。

 以下の様なマインドフルネス X ランニングを掛けあわせた、マインドフルランニングというような新たなスポーツカテゴリーがどんどん生み出されるイメージがです。

 今後はスポーツは、単純に肉体のトレーニングだけではなく、人の意識レベルの向上を目的とし、脳や精神も鍛える新しいカテゴリーの「マインドフルネス・スポーツ」が登場していくことでしょう。

米国セドナで​トレイルの後、瞑想を楽しむ

 

2025年マインドフル・ビジネス市場はブラジルのGDPと同じ

 

 本数値の算出方法は、現在手に入る既存の産業分野市場規模の数値から、どの程度が「マインドフル・ビジネス」に移行しそうかを、ざっくり予測してかけていくという、非常に「乱暴な」算出方法にしております。


 この数字だけ見てしまうと、「すわ、明日から、マインドフルネス・ビジネスの時代が来る!」と勘違いしてしまいそうですが、

 実際にはマインドフルビジネスというものが、全く新たに立ち上がるというイメージではなく、すでに既存に存在している市場の中で、マインドフルネス的な要素を含んだ市場規模が9年間をかけて徐々に増えていくイメージです。


 本数字は、ずいぶん大風呂敷な数字だと思われる方も多いとおもいますが、これが今わたくしどもが感じているイメージを数字にしてみたものです。

 

マインドフル・ビジネスについて解説した書籍

「禅的」対話で社員の意識を変えた トゥルー・イノベーション 単行本(ソフトカバー) – 2018/6/1
三木 康司 (著), 前野隆司 (その他) 1,728 円

​内容紹介
AI時代に成功するイノベーションは「情熱」により導き出される。
しかし、ヒトは自身に眠る“真"の「情熱」の見つけ方を知らない。

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トゥルー・イノベーションとは、
他に例のない「本物(トゥルー)」のイノベーションであり、
他の誰でもない自分に「誠実(トゥルー)」なイノベーションである。
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近年では新しい企画や製品・サービスを生み出そうとするとき、欧米由来の「ロジカル・シンキング」「デザイン思考」「リーン・スタートアップ」「オープン・イノベーション」といった手法を用いることが一般的である。しかし、対象マーケットへのヒアリングとデータに基づいたファクトを積み上げるこれらの手法にばかり頼ると、結果として似たようなアイディアが市場に溢れることになる。なぜならば、ファクトはどこの企業でも、誰でもリーチできるようなものに過ぎないからだ。同じようなファクトから導き出されたアイディアは独自性に欠ける。

他に類を見ない本当に画期的なイノベーション(トゥルー・イノベーション)を生み出すために大切なのは、ロジックよりも情熱である。個人の心の中にしかない「本当にやりたいこと(欲しいもの)」は、市場リサーチの結果とは異なる独自性の高いものである。しかし、“真"の情熱は、個人の社会での立ち位置や先入観などの要因に阻まれて霞みがちであり、見つけるにはコツがいる。そしてそのコツは禅問答にあった。
本書は「zenschool(ゼンスクール)」という「対話」を重視する独自のイノベーション創出講座で数々の成功するイノベーターを輩出してきた著者が“真のワクワク"を探し出すためのメソッドを公開する。『日経スペシャガイアの夜明け』(テレビ東京)で取り上げられて話題になった、成果を上げるイノベーションを生む「対話」の技術とは? 解説は「幸福学」「イノベーション研究」の前野隆司教授(慶應大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授。

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『トゥルー・イノベーション』刊行記念トークイベント(2018/6/8)

イベントレポート